平川さやか

住所によって、校区が割り当てられている日本とは違い、イギリスは公立であっても、親が希望の学校を5校選び、優先順位をつけて区に提出し、どの学校からオファーが来るかをひたすら待つ、というしくみになっている。そもそもロンドンの小学校のほとんどが、1学年1クラス30人のみといった、とても小規模なところが多く、隣の小学校まで数百メートルという立地の場合もあるため、厳密に住所で区画する事が難しいのかもしれない。 さて、実際どのように公立の学校が子供たちに割り振られるのかと言うと、まず、クリスチャン系の学校であれば、その学校の経営母体である教会に通っているかどうかが問われる。公立の学校だというのに、特定の宗教の人だけを優遇することなどあっていいのかと憤慨もするが、ここはイギリス、まんまとまかり通っているのである。これに対して、神父から紹介状をもらえるまでの一年間、まじめに教会に通い、希望の学校に子供を入れるという裏技を使う親たちも少なくはない。実際、わたしたちの希望の学校は、家の真ん前にあるクリスチャン校。そしてその教会にいたっては、我が家の隣だったのだから、週に一度通う事くらい不可能ではない。けれども、わたしはかけらもクリスチャンではないのだから、いくら子供のためとはいえ、自分に嘘をついて教会に通うさまを、子供はどう見るだろうか、と考えた末、断念。 第二希望は、その地区でもっとも評判の良い人気校。こちらは問い合わせの時点で、「今いる生徒たちの兄弟姉妹だけで、定員いっぱいです」とのこと。クリスチャン校でなければ、兄弟姉妹を最優先、そしてその次にようやく、住んでいる家の近い順、ということになる。